レセプトの電子請求(後編)

前回からの続きです。
 
この問題を解決するには、電子請求に合わせた医療システムの構築が必要となる。
まず、治療行為や薬剤と病名を一致させるようにしなければならない。
現在のシステムでは、診断名や薬剤の適応病名とレセプト用の病名(レセプト病名)が一致しないことが多い。
国際疾病分類(ICD)の普及が推進されているが、ICDはあくまで疾病の分類であり、診断名と一致しない。
この点が解決できれば、電子カルテなどで病名を入力しなければ薬剤を処方できないなどの処理を行うことができたり、月末にボタン1つを押すことにより不足している病名を補完したりすることができるようになる。
次に、複雑怪奇な現在の診療報酬体制をシンプルにする必要がある。
ある点数を算定すると別の点数が算定できないとか、回数制限の点数があるなどといった、複雑な診療報酬をシンプルすることにより、医療機関のレセコンで事前審査を行うことができるようになる。
DPC(包括払い方式)が実験されているが、包括払いが増えることにより、レセプト請求業務は簡素化する。
(現在のDPCは純粋な包括払い方式ではないため、事務作業を非常に複雑化している)
きちんとしたシンプルな診療報酬体制を構築できれば、医療機関も審査機関も時間と経費を大幅に削減することができるのだ。
極論をいうと、医療機関に設置された正確なレセプトコンピューターが、レセプトを一括審査し、保険者に電子請求し、保険者は電子請求された金額を医療機関に支払う。
電子カルテとレセプトの連動が前提であることはいうまでもない。)
審査機関というもの自体の必要がなくなってしまうかもしれない。
そうすることにより、保険料は医療費として有効に使えるのである。
介護保険においては、レセプトは電子請求が基本となっている。
これは、介護保険というシステム自体がシンプルなためである。(項目の少なさ、包括点数)
電子カルテの導入、レセプトの電子請求、包括払い制度の導入、その他様々なシステムを包括的に考えなければ、どれも促進はされない。
抜本的な改革が必要なのである。
 
尾崎総合企画
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