ソーシャルワーカーの費用が自費に?(後編)

前回からの続きです。
 
地域医療のネットワークが広がる今日、急性期病院も、亜急性期病院も、回復期病院も、療養型病院もMSWの存在は欠かせなくなってきている。
言い換えれば、MSWがいるからこそ、地域医療連携は成り立つのだ!
しかし、ソーシャルワークには保険点数がついていないので、どこの病院も人件費を持ち出して雇用しているのが現状である。
本来ならば、患者数30人あたりに1人のMSWは配置したいところである。
社会福祉士会も、保険点数化に向けて努力を続けている。
そんな中、MSWの人件費は患者から実費徴収しようという案が出ているのだ。
摩訶不思議な状態ではあるのだが、中医協の考え方では、ソーシャルワークは「療養の給付」と見なされないのだ。
だが、逆にこれはチャンスなのかもしれない。
各家庭が、かかりつけ医、かかりつけ薬局ならぬ、かかりつけMSWを持つ時代がくるのかもしれない。
MSWも医療機関に属するのではなく、会社として別組織となるかもしれない。
本人や家族が入院したり、障害が生じたり、介護が必要となれば、契約しているかかりつけMSWに連絡をいれる。
かかりつけMSWは、役所や、いかなる医療機関にも入っていって交渉することができ、クライアントである契約家族のために交渉をしたり、社会資源を利用するための手続きができる。
病院側とも顔見知りになれば、急性期病院側と契約して、患者をスムーズに亜急性期、回復期に転院させる手続きを行う日がくるのかもしれない。
そうなれば、ソーシャルワークは弁護士業にも近い仕事となってきて、社会的地位も上がってくるのかもしれない。
少し話が発展しすぎたが、今回の中医協の検討は、MSWにとってピンチでもあり、チャンスでもある。
ソーシャルワークという考え方自体が変わってくるのかもしれない。
福祉専門学校の学生は、「いかに無料で社会資源を利用するのか」「費用がかかることは悪である」ということを学ばされる。
これからは、顧客(患者)と、医療・介護サービスや有効な社会資源をマッチングさせることで、費用を頂くのかということになってくる可能性がある。
顧客が満足できなければ費用を頂くことはできない。
自己満足でない、真の社会福祉サービスを提案するのが、今後のMSWの仕事となってくる可能性がある。
 
尾崎総合企画
http://www.medisoft.jpn.ch