なぜ、院外処方が促進されるのか?(前編)

平成16年7月の医薬分業率(調剤薬局に処方箋を発行する率)は51.9%となった。
今は、半数の処方箋が、調剤薬局に出されている時代となったのである。
処方箋を院外に出す一般的な理由は、「かかりつけ薬局」という言葉で説明されている。
複数の病院や診療所(以下、医療機関)から出される薬剤、ドラッグストアで買える一般薬などの飲み合わせ等の管理を1つの調剤薬局が行えるため、安心であるということである。
また、自宅近くの調剤薬局で受け取れば、病院薬局での長い薬待ちの時間から開放されるという謳い文句もある。
だが、実際には医療機関の目の前にある調剤薬局(門前薬局といわれる)で調剤してもらうことがほとんどであり、患者負担としても高くなるのも事実である。
実のところ、患者側から見るとメリットというのは少ないのではなかろうかと思う。
それでは、なぜ、院外処方が促進されるのだろうか?
もともと薬剤というのは診療報酬上、面白い仕組みになっている。
医療機関において薬剤を使用すると(患者に渡すと)、薬価という決まった価格で保険請求することができる。
だが、薬剤を購入する際には、薬価より安い値段で購入することになる。
この「薬価−購入価」を薬価差益といい、医療機関の利益に多大なる貢献をしていた。
例えば、薬価100円の薬剤を70円で購入した場合、1錠使用(患者に渡す)毎に30円の差益が医療機関に残る。
(過去には100円の薬剤を買うと、300円分の薬剤がついてきたなんてこともあった)
従って、医師が患者に処方すれば処方するほど、医療機関に利益が残るのである。
患者側も症状を訴えて、薬剤が処方されれば安心するため、多剤処方という形になってくるのである。
これでは医療費を削減することなどできない。
処方を出すものと、薬価差益を得るものが一緒ではいけないのである。
そこで厚生労働省は、処方箋を院外の調剤薬局に出して、調剤薬局が処方するという、医薬分業を推進するのである。
薬の使用(患者に渡す)が調剤薬局に移れば、医療機関側は薬剤を多剤処方しても差益が入らないためメリットがなくなる。
そのため、適正な薬剤の処方となり、薬剤費の削減が可能であろうということである。
 
字数の関係で次回へ続く。
 
尾崎総合企画
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