なぜ、院外処方が促進されるのか?(後編)

前回からの続きです。
 
ただ、医薬分業は、医療機関が処方箋を院外に出さなければ始まらないし、処方箋を受けることができる調剤薬局もなければならない。
そこで厚生労働省は医薬分業率を上げるために、これまでに主な5つの政策を採っているのである。
 
1.薬価を下げ、薬価差益を少なくする。
2.病院薬剤師の薬剤管理指導料(服薬指導料)を上げ、薬価差益に代わる収益部門とする。
3.処方料という診療報酬。
4.調剤薬局の調剤報酬を上げ、薬局開設を促す。
5.ジェネリック薬(後発品)の処方を促進する。
 
まず、1.についてだが、過去に数十%もあった薬価差益率は、現在10〜15%程度となってきている。
消費税を支払うと、5〜10%程度となり、これは在庫ロスや調剤ロスなどの管理費程度の額に近づいてきている。
2.については、院外に処方箋を発行することにより、調剤を行っていた薬剤師が余ってくる。
病院の場合、外来処方における調剤技術料というのはなく、ほとんどただ働きであったため、薬剤管理指導料という診療報酬をつけて収益部門になるようにした。
3.については、薬価差益がなくなった代わりに、処方箋を発行するだけで算定できる処方料とう診療報酬をつくり、処方する薬剤が少ない方が高くなるように設定した。
4.については、調剤薬局の診療報酬を上げて開設の促進を図った。
その結果は全国の医薬分業率51.7%という数字に表れている。
調剤報酬(調剤薬局に支払われる医療費)が歯科医師報酬(歯科に支払われる医療費)を超えてきたため、現在、問題となっている。
5.については、テレビや新聞で賑っているとおりであるが、特許が切れた先発品と同じ成分で作られている薬剤であり、研究開発費が必要ないため、低価格の薬価となっている。
薬価差益が大きく、診療所で多く使われているが、薬価自体は安いため、医療費としては安くなる(保険者も患者も)。
ただし、院外の調剤薬局に処方した場合、医療機関側のメリットはないといってよい。
以上のような政策にて、もうしばらくは医薬分業率は上がってくると思われる。
ちなみに、弊社のある愛媛県では、医薬分業率は35%台とワースト10に入っている。
(トップ3は、秋田県佐賀県、神奈川県)
(ワースト3は、福井県和歌山県、石川県)
そろそろ薬価差益から脱却しなければならないと思うのだが・・・。
 
尾崎総合企画
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