プレフィールドシリンジ製剤(前編)

突然ですが、「プレフィールドシリンジ」というものをご存知でしょうか?
薬剤があらかじめ、使い捨てのシリンジ(注射筒)に入った製品です。
院内感染対策用の製品として、最近続々と登場しています。
糖液、生食、ヘパリン製剤、局麻、カリウム製剤、EPO製剤、その他もろもろ・・・。
気がつけば、ものすごい数になっています。
多くの医療機関で採用され、感染の危険性を少しでも減らす努力がなされています。
さらなる製品の広がり、採用医療機関の広がりを期待しております。
さて、話は変わりますが、注射や点滴という仕組みは不思議な制度です。
例えば、静脈内注射の場合、外来では1回につき300円の手技料が算定できますが、入院では算定できません。
点滴注射では、500ml未満の点滴の場合、外来では1回につき470円の手技料が算定できますが、入院では算定できません。
すなわち、入院では、シリンジ、点滴ルート、針などの料金ははすべて医療機関側の持ち出しとなるのです。
これらの料金は、入院基本料にすべて含まれているという解釈からです。
従って、医療機関側が保険請求できるのは薬剤費のみです。
近年、院内感染対策は強化されており、病院と有床診療所では、院内感染対策委員会を設置して対策を行っていない場合、入院基本料が減額となります。
しかし、院内感染対策には、多大なコストが必要とされ、現在の減額方式には疑問が持たれています。
話は戻りますが、プレフィールドシリンジ製剤を使うと面白いことが起こります。
アンプル製剤、バイアル製剤では、シリンジの料金は持ち出しで、薬剤費のみ請求できていました。
プレフィールドシリンジ製剤では、このシリンジの料金も薬剤費に含まれてしまうのです。
一般的にプレフィールドシリンジ製剤になると、これまでの製剤に比べて、薬価が100円前後高くなります。
もともとのシリンジの料金は20〜30円くらいなのですが、なぜかプレフィールドシリンジ製剤になると、100円前後も値段が上がるのです。
 
字数の関係で次回へ続く。
 
尾崎総合企画
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