プレフィールドシリンジ製剤(後編)

前回からの続きです。
 
例えば、もともとのシリンジの料金が30円とします。
これまでの製剤を使用すると、入院では30円の持ち出しでした。
プレフィールドシリンジを使うと、病院も持ち出しはなくなりますが、代わりに保険請求される薬価が100円上がります。
どういうことになるのかというと、
・病院:感染のリスクが減り、30円のコストが削減できる。
 (薬価差益を考えなければ、プレフィールドシリンジ製剤による病院利益は0円)
・医療費:1注射あたり100円高くなる。
・医薬品メーカー:70円の利益が生まれる。
 (シリンジメーカーに30円の支払いがあるため、100円‐30円=70円)
・患者:感染のリスクが減る代わりに、30円の自己負担が増える。
極端な計算方法ですが、このようなお金の流れが生じるのです。
病院と患者の関係では、患者の自己負担が30円増え、入院のシリンジ料金に充てられているようなものです。
保険から出される医療費70円(100円‐30円)は、医薬品メーカーに流れていることになります。
メーカーの製品化努力に対して、3割(30円)くらいは流れてもよいと思います。
しかし、残りの40円は、医療機関の院内感染対策費に向けられるべきです。
同じ注射・点滴分野においても、中心静脈注射などのジョイント式カテーテルやフィルター、輸液ポンプにかかるコストは増え続けています。
1,400円の保険点数では、持ち出しになることも多々あります。
環境消毒、ディスポ(使い捨て)製品の増加など、コストは増える一方です。
ぜひ、この40円分は、院内感染対策「加算」の費用に回して欲しいものです。
最後に、プレフィールドシリンジ製剤は、安全性が高い上に、看護業務を軽減させる製品です。
今後も多くの製品が出てくると思います。
多くの医療機関で採用され、感染リスクの減少に繋がることを願っております。
 
尾崎総合企画
http://www.medisoft.jpn.ch