ユニット型個室は建設会社を潤すだけなのか?

平成17年10月より、介護3施設でのホテルコストの徴収が開始されます。
ユニット型個室が6万円、ユニット型準個室及び従来型個室が5万円、多床室が1万円が、1ヶ月に居住費および光熱費として徴収されます。
医療療養型についても、平成18年10月を目指して、ホテルコストが徴収されるようです。
個室、広いスペース、綺麗な部屋と、療養環境の改善は喜ばしいことです。
昔ながらの詰め込み病室より、落ち着いた個室の方が、治療において精神的にも良いことはいうまでもありません。
そのような良い療養環境を、厚生労働省が推進しており、医療法や診療報酬により、誘導していることは良いことです。
しかし、土地不足の日本において、良い療養環境を提供するためには、それなりの資金が必要となります。
その資金を、有無を言わさずに、患者から徴収するということには疑問を感じます。
確かに、現時点において医療では、特別な療養環境ということで、差額ベッド代を別途徴収することが認められています。
新しい施設では、1日1万円程度の個室使用料が徴収されており、1ヶ月で30万円のホテルコストとなります。
(平均在院日数が短いため、15万円程度となるが)
この金額に比べると、1ヶ月6万円、5万円というのは安いのかもしれません。
ただ、利用者や患者が望まなくても個室環境が与えられ、ホテルコストが徴収されるというのはいかがなものかと思います。
施設側はより良い療養環境の構築が義務化され、利用者側はホテルコストが徴収される。
厚生労働省の政策であるため致し方ないのかもしれませんが、では、誰のためにホテルのような施設が建設され続けているのかと考えると・・・。
利用者のためというよりは建設会社のためのような気もしてきます。
公共工事削減分を、医療や介護を通じて、施設建築という形で補充しているように感じられます。
今後、介護老人福祉施設の新規建設は、ユニット型しか認められていません。
平成17年6月30日に開催された社会保障審議会介護給付費分科会では、介護老人保健施設介護療養型医療施設にもユニット型を求め、個室には介護老人福祉施設の基準をあてはめようとしています。
これからの介護施設の建築は、政策により個室が標準化となっていくのです。
こうなると、介護施設の建設はある意味、公共工事ともいえます。
日本は、いつまで公共工事を主としたケインズ理論(マクロ経済政策)に振り回されるのでしょうか?
 
尾崎総合企画
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