食事提供について考えよう(前編)

いよいよ2ヶ月後の10月1日より、介護3施設、通所系の食事加算が廃止される。
医療においては「食事は治療の一環」という考え方が強いが、介護においては「治療」を全面的に出すことはできない。
これまで食事加算に支えられて、介護3施設、通所系施設における食事の自己負担は軽減されてきた。
食事加算が廃止されると、当然ながら、本来の食事費用を自己負担してもらう必要が出てくる。
すなわち、自己負担の値上げである。
通所系施設(以下、施設)を中心に考えてみることにする。
現在は、食事加算390円に支えられて、自己負担を300円〜400円としている施設が多いと思う。
外食、弁当と考えれば、300円〜400円というのは安い。
この程度の自己負担金であれば、利用者も払いやすいし、料理の内容・味に関しても苦情が出にくい。
しかし、実際は690円〜790円の食事なのであり、食事加算廃止後、本来の金額を自己負担してもらうようになると話は違ってくる。
390円の自己負担が増加すれば、週2回通所している利用者で、月々、390円×2回×4週=3,120円の増加となる。
週3回通所している利用者では、月々4,680円の増加となる。
この金額は、高齢者にとっては非常に大きな金額である。
また、690円〜790円の食事ということになれば、必然的に、料理の内容・味に関して意見が出てくるようになる。
これまでは、「安いから仕方ないね」と納得されていた食事が、「値段が上がって内容は変わらないのか?」という不満に変わってくる可能性がある。
施設側にとっては、同じ経費で同じ内容の食事であるにも関わらず、利用者の不満は高まるのだ。
さて、そうなると、10月1日からの対応について、早急に対策を練らなければならない。
まずは自己負担金額についてだが、300円〜400円という金額では施設側の給食運営は難しい。
従って値上げということになるのだが、この金額をどの程度で抑えることができるのかが問題である。
本来の経費まで上げるのか、400円〜500円程度に抑えるのか?
抑えたとすれば、マイナス分は施設側が負担するのか、食事を委託しているのであれば委託側にも負担させるのか?
食事というのは正直なもので、値段相応のものとなってくる。
原材料費を削減すれば、当然ながら食事の質は低下する。
委託側へ負担をかける場合、食事の質の低下を避けることはできない。
 
字数の関係で次回へ続く。
 
尾崎総合企画
http://www.medisoft.jpn.ch