治験というシステム(後編)

前回からの続きです。

医療機関で治験を実施するためには、医薬品メーカーから治験の依頼を受ける必要があります。
従来は、医薬品メーカーが医療機関に依頼し、医療機関が治験を管理するという形でしたが、最近では効率的で迅速な治験を行うために、治験業務自体がアウトソーシングされてきました。
まずは、医薬品メーカーの業務を代行するのが、医薬品開発業務受託機関(CRO:Contract Research Organization)です。
CROの業務は、医療機関への訪問、治験の交渉、回収したデータの電子化、データ管理、データ解析などです。
治験を実施、管理する医療機関の業務を代行するのが、治験施設支援機関(SMO:Site Management Organization)です。
SMOの業務は、治験に関わる医師、看護婦、事務局の業務の代行です。
先ほどのCRC業務も、SMOの業務となってきます。
一昔前の治験を体験した医師(当時の研修医)は、「治験」と聞くと、非常に管理が大変で、業務が複雑だったため、治験の実施に抵抗を感じますが、現在の治験は、アウトソーシングにより非常に楽になってきています。
また、過去には大病院でしか実施されていませんでしたが、現在では、中小病院や診療所でも実施可能となってきています。
「治験」の被験者募集のお知らせがあれば、被験者となることで、あなたも新薬を世に出すためのお手伝いができるのです。
もちろん、まだ医薬品として認められていないものですので、治験を受けるにはリスクがあります。
リスクには2種類あり、1種類は、今、服用している薬剤より効果がないかもしれないというリスクです。
もう1種類は、予期せぬ副作用が現れるかもしれないというリスクです。
そのため、被験者(患者)には謝礼が用意されています。
治験を受けている期間は、指示に従う必要がありますが、1回の受診につきいくらという謝礼が支払われるため、医療費の節約になります。
もちろん、予期せぬ副作用が現れた場合には、その治療費用も支払われます。
ただ、新薬というのは、これまでの薬剤よりも、効果が高く、安全性が高い薬剤を目的として開発されているということはご理解ください。
以上、治験というシステムを簡単に述べさせていただきました。
 
次回はちょっと裏話です。
 
尾崎総合企画
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