恐るべき治験というシステム(後編)

前回からの続きです。
 
では、正解を見てみましょう。
 
医薬品メーカーが医療機関に支払う金額:B+C+D+管理費
医療機関が被験者へ支払う金額:C
医療機関アウトソーシング企業に支払う金額:D
医薬品メーカーがアウトソーシング企業に支払う金額:E
 
となっているんです。
従って、医療機関に残る金額は、B+C+D(+管理費)‐C‐D= B+管理費
 
違いがわかりましたでしょうか?
医療機関アウトソーシング企業に委託する、書類作成業務等の委託費、CRC等の委託費は、すべて医薬品メーカーが支払うのです。
さらに、治験手数料:Bの他にも、「管理費」が医療機関に支払われます。
治験手数料という言い方に語弊はありますが、管理費が上乗せされることには非常に疑問を感じます。
医療機関アウトソーシング企業に支払う金額:Dについてですが、B+C+管理費の○%と定率となっています。
定額でなく、定率なのです。
従って、医薬品メーカーから医療機関に支払う金額が大きければ大きいほど、アウトソーシング企業の委託費が大きくなるという仕組みです。
さらに、被験者(患者)が本来3割を支払うべき、治験期間の医療費:Aについても面白い仕組みになっています。
医療費:Aのうち、検査に関わる費用、治験薬などの費用はすべて医薬品メーカーが支払うことになります。
そのため、被験者の負担は、診察料や他の医薬品の値段に対する3割負担だけとなるため、自己負担が減り、さらに通院毎に謝礼:Cが支払われます。
このように、医療機関アウトソーシング企業、患者の3者がすべてメリットがある仕組みになっています。
では、その費用はどこに負担がかかっているのかというと、もちろん、医薬品メーカーです。
それでは、医薬品メーカーはどこで費用を回収しているのかというと、薬の値段「薬価」というわけです。
この薬価はどこから支払われるのかというと、医療費、すなわち皆さんの支払う保険料なのです。
最近、厚労省も表向きではジェネリック医薬品後発医薬品)の使用を推奨して、医療費の削減を目指しています。
しかし、実際には、新薬(先発医薬品)に多くの金額をつぎ込んでいるのです。
これが治験というシステムです。
治験の表の面と裏の面おわかりになりましたでしょうか?
 
尾崎総合企画
http://www.medisoft.jpn.ch