介護予防の意味について考えよう(前編)

平成18年4月の介護保険の改正のメインテーマは「介護予防」である。
要介護度の悪化速度を「予防」により遅くしたり、改善したりして、介護給付費の増加を緩めようということだ。
平成17年の春に厚生労働省が、介護予防の効果を検証するために実施したモデル事業(筋力トレーニング)の中間報告によると、
 
筋力トレーニングによる要介護度の変化
改善 44%、変化なし 40%、悪化 16%
 
このデータの本当の解釈の仕方については、平成17年5月2日のコラムを読んでいただければと思うのだが、厚生労働省はこの結果を元に、半ば強引に「介護予防」すなわち筋力トレーニングの導入を決定した。
介護予防の筋力トレーニングは、もともと「パワーリハビリテーション」という概念に基づくものである。
従って、ただ単に、筋力トレーニングを行えばよいというものではない。
平成18年4月に向けて、筋力トレーニングの導入を考えている皆様、この点は勘違いしないでいただきたい。
さて、我々、一般の人たちも、スポーツクラブに通うのがブームとなっている。
生活習慣病に代表されるように、食生活の乱れ、運動不足を解消するために、少しでも運動をしようという気持ちから通い始める。
余談であるが、スポーツクラブの経営の基本は、「会員数を増やして、利用者を減らす」ことにある。
「入会はしたのだけれど、最近あまり行ってないよね」という人が増えれば増えるほどよいのである。
利用者が少ないほど、施設のスペースに余裕ができるため、さらに新規の会員を募集できる。
利用の有無に関わらず、入会金と月々の会費はスポーツクラブの収入源となるのである。
さて、話は戻るが、スポーツクラブに通う人の大半が、実際には、その会費分も利用できていないいうのが現状である。
それくらい、継続するというのは非常に難しいことなのだ。
若年者ですら、この状況であるのに、高齢者に筋力トレーニングを継続させるというのはいかがなものであろうか?
体を使いたい!という意思のある人には有効であろうが、なぜこんなにしんどいことを・・・と思っている人が継続できるはずもない。
このような状況を勘案して、平成18年4月の介護予防施設では、本人が拒否する場合は、筋力トレーニング以外の予防行為を行っても構わないという制度になるようだ。
これでは、何のための介護予防なのかわからない。
 
字数の関係で次回へ続く。
 
尾崎総合企画
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