消費税アップと価格変動

2007年度の消費税率アップについて騒がれています。
小泉首相が、自らの在任期間中には引き上げないと語られましたが、長い目で見なくても、消費税を上げなければ財政は回らないことは目に見えています。
さて、大きな話は政治家にお任せするとして、身近な話を考えてみましょう。
薬剤や診療材料は、保険での請求価格が決められています。
面白いことに、購入金額に対しては消費税が掛けられるのに、保険請求価格は消費税を掛けて支払われません。
すなわち、100円の保険単価のものを100円で購入すると、5円の赤字が出るということなのです。
したがって、薬や診療材料を購入する際には、最低でも保険請求価格より5%以上の値引きを要求しなければ赤字となります。
以前、消費税が3%から5%にアップした際、薬剤の値段(薬価)が改定される際に、2%分が考慮された改定となりました。
しかし、その後の2回に渡る薬価改定で、その2%分の考え方はどこかへ消えていきました。
結局、2%分は医療機関が補填しているか、卸業者が補填しているかということになります。
現在、仮に値引き率が10%とします。
購入価と薬価の差により得られる医療機関の利益、薬価差益は実質5%分となります。
消費税改定により、仮に15%までアップしたとします。
すると、医療機関は5%分の赤字となってしまいます。
卸業者の納入価は全く同じであるにもかかわらずです。
それでは、この10%分は、誰が補填することになるのでしょうか?
医療機関としては、物を購入して赤字になることは許されません。
卸業者としては、10%の値引きを受け入れると、たちまち大赤字となってしまいます。
保険請求価格というものは、この消費税をまったく考えていません。
(瞬間的には考慮しますが、すぐに無意味になります。)
8月29日、財務省は2006年度予算の概算要求で、一般会計を85兆3000億円程度とする方針を固めました。
なぜ、税収の2倍の予算を立てるのか毎年、理解に苦しむのですが、とにかく財源はありません。
消費税率アップは近い将来に起こります。
保険請求価格という方式についても、考え直す必要があるのではないでしょうか?
 
尾崎総合企画
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