医療費と高齢者負担(中編)

前回からの続きです。
 
老人医療費無料化政策を推進されていた今井 澄先生(故人、元諏訪中央病院院長、元参議院議員)は、著書『理想の医療を語れますか』(東洋経済新報社、2002年)のなかで、次のように語られています。

老人医療をおかしくしてしまった一つの原因として、
負担できる人と負担できない人の区別をせずに、70歳とか65歳とか、一律の年齢で区切ってしまったことがあります。
日本が医療保険制度の先輩として手本にしたヨーロッパの国々には、こういった年齢で区切る制度はありません。

「負担できる人」にまで、医療費を無料化してしまったために、医療費が高沸してしまったのです。
高齢者医療は”ただ”であるという考え方が、今も根強く心の底に残っており、高齢者への保険料や自己負担割合の増額といった政策を遅らせています。

さて、2000年の介護保険の導入を機に、医療でない部分に対して、高齢者負担が増えてきております。
親切された介護保険料の支払い、サービス利用費の一部負担金などが、その例です。
2005年10月からは、入所系介護3施設において、食費と住居費が実費となり、ますます負担が大きくなってきます。
病院においては、建て直しなどにより、広い個室環境が増えていっていますが、その分、特定療養費としての室料の金額も上がってきています。
もしかすると、室料が大きな収入源となる病院が出てくるかもしれません。
 
字数の関係で次回へ続く。
 
尾崎総合企画
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