医療費と高齢者負担(後編)

前回からの続きです。
 
この特定療養費としての個室料にも、歴史があります。
混合診療だ」ということで、健康保険法違反の疑いで国会で実名を挙げられたこともある、医療法人慶成会の大塚 宣夫先生の考え方が、現在の制度のもととなっています。

開院前から私は、「病院に入れたら”ただ”で済む」こと自体が社会主義に反することだと考えていました。
劣悪な環境で薬漬けで寝かされていても家族が何も言わないのは、”ただ”で入院させてもらっている、
という負い目があるかれでしょう。
だったら、家族にある程度負担していただいて、より質の高いものを提供する方がいいのではないか。
そう考えて、最初から1日2,000円、月6万円をいただくことにしました。
(医療法人慶成会理事長 大塚 宣夫先生、日経ヘルスケア2005年8月号より抜粋)
(青梅慶友病院は、1980年2月に147床で開設)
 
差額室料の徴収は、よい医療、介護、サービスを提供するために必要なマンパワーのためにあることを忘れてはいけません。
今後、様々な個所で、医療や介護、そして保険に関する高齢者負担が増加していきます。
医療は無料ではありません。
しかし、医療機関は無料化というカモフラージュの中で得ていた大きな利益を、高齢者に還元できていたのか?
乱診乱療でなく、真に望まれる、満足されるサービスを今後、提供できるのかどうか?
この点が今後、大きな評価となってくると思います。
 
今後の政策の中で、
高齢者の医療費自己負担は2割になってくるでしょう。
医療においても、食事やホテルコストが実費で請求される日がくるでしょう。
軽い治療には保険が適用されない日がくるでしょう。
高額な治療には保険が適用されない日がくるでしょう。
医療費にまわされるであろう消費税の率も上がってくるでしょう。
医療を提供する側も、提供される側も、「コスト」と「質」、そして「効果」にしっかりと目を向けて、適切で満足ができる関係を作っていかなければなりません。
 
尾崎総合企画
http://www.medisoft.jpn.ch