医療費の透明化について(後編)

前回からの続きです。
 
平成17年4月の個人情報保護法の施行により、患者側が求めた場合には、診療報酬明細書(レセプト)を開示しなければならなくなりました。
しかし、レセプトの開示は、診察を受けた医療機関からでなく、社会保険事務所などの保険者からということになります。
そのため、実際にレセプトの開示を請求するケースは、かなり少ないのではないかと思われます。
そこで、厚生労働省は、医療機関が詳細な治療内容がわかる「領収書」を発行した場合に、診療報酬を加算する方針を固めました。
医療費の根拠を患者自身ににチェックしてもらうとともに、無駄な検査や投薬などをなくす狙いのが目的の一つです。
あくまで「加算」ですので、その開示費用は、患者さん自身と保険者から頂くのですが、この制度が広く一般の人々に知れ渡れば、詳細な領収書を発行しない医療機関は信用を落とすことに繋がってきます。
医療費が透明化されるのは非常に良いことです。
患者側も、不明な点があれば、どんどん質問することができるようになります。
唯一の問題は、重い病気の方に病名告知していない場合に、領収書から病名が知れてしまう可能性があることです。
詳細な領収書の内容は、システムの関係から、医科点数表の文言通りに記載されると考えられます。
手術の術式などが記載されると、検査の内容が記載されると、医師の知らない間に患者さんに漏れてしまう危険性があるのです。
最近の方針により、「告知」を行っている医療機関は増えてきていますが、ケースバイケースでもあります。
このあたりの点については、しっかりと協議していただきたいと思います。
とにもかくにも、医療費が透明化されるのは非常に良いことです。
できましたら、診療前に診療コースと医療費が明確にわかるシステムが導入されるといいですね。
厚生労働省の皆様、頑張ってください!
 
尾崎総合企画
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