インフルエンザワクチンは高い?(後編)

前回からの続きです。
 
メーカーは、卵などの原料費、人件費、研究開発費等に利益を乗せなければならない。
ワクチンが検定に受からない場合などを勘案して、製造メーカーを分散させている。
そのため、安定供給するためには、販売会社を通して流通を安定させる必要がある。
販売会社は、人件費、搬送費、管理費等に利益を乗せなければならない。
医療機関への流通は、薬品卸を使うことが効果的である。
ワクチン販売会社だけでは、十分な流通を担うことはできない。
薬品卸も同じく、人件費、搬送費、管理費等に利益を乗せなければならない。
医療機関では、ワクチンを接種するために、事前問診、診察、接種という流れを取っている。
もちろん、これらの流れの間は、他の一般患者の診療を中断するわけであり、医師、看護師の人件費、注射筒や針などの経費、事務費等が発生してくる。
これに、ワクチンの納入価を含めると、3,000円など軽く超えてしまい、利益どころかマイナスの状況となる。
つい数年前まで、インフルエンザのワクチン接種は7,000円〜10,000円近くしていた。
きちんとした利益を取ると、このくらいの金額になってくる。
現在の平均3,000円という金額は、非常に良心的な金額なのである。
都道府県による高齢者へのワクチン接種の委託費は4,000円〜4,500円と試算されている。)
もちろん「平均」であるため、医療機関によっては2,000円以下の金額で接種しているところもある。
ほぼ、ボランティアといっても過言ではない。
また、ワクチンは原則として「返品自由」なため、在庫リスクをメーカーは抱えなければならない。
一昨年に起こったことだが、検定に通らない場合、作ったワクチンのすべてが無駄になるリスクもある。
このような事実を把握した上で、価格については意見を述べなければならない。
このコラムをご覧の皆様だけでも、ご理解願えたらと思います。
 
尾崎総合企画
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