臓器移植のプロモーション活動

前回からの続きであるが、少し違う観点から考えてみる。
 
(社)日本臓器移植ネットワークは、臓器移植への関心を高めようと、黄色と緑のリストバンドの配布を開始する。
9月末から11月にかけて、全国各地で10万本を配布する予定である。
黄色は臓器提供意思表示カードのカラーであり、緑は臓器移植のテーマカラーだそうだ。
リストバンドをきっかけに臓器移植を考えてほしいという意図である。
 
リストバンド・・・。
 
リストバンドといえば、今、流行のホワイトバンド
今回の企画は、完全にホワイトバンドにあやかろうというものである。
ホワイトバンドは良くも悪くも流行してしまったので、ご存知の方が多いと思う。
1本300円のホワイトバンドには、3つのマークが入っており、3秒に1人の子供が貧困で死んでいることを意味している。
このホワイトバンドは、売上げを寄付するものでなく、活動に関心を持ってもらうための道具である。
サニーサイドアップの次原悦子社長が仕掛け人であるが、本来の活動目的は商売である。
芸能人、スポーツマンがホワイトバンドをつけて、3秒に1回指をならす、というプロモーションが共感を呼び、爆発的な売上げを上げている。
NGO活動と混同しているため、社会問題化しているが、貧困問題に関心を持たせたという点では非常に評価できる。
福祉に関心が少ない日本人に、これほどまでにホワイトバンドを売り上げることができたのは、ひとえに「カッコいい」からである。
本来なら、若者が引いてしまうような活動を「カッコよく」プロモーションしたことが成功の要因なのである。
 
さて、話は戻るが、日本臓器移植ネットワークが2匹目のドジョウを狙って、リストバンド活動を行うとして、果たして効果は期待できるであろうか?
結果としては非常に厳しいものになると思われる。
前回のコラムの1億枚のカードといい、今回のリストバンドといい、費用対効果を考えると、非常に非効率的である。
最近は、自民党民主党の政治活動にも、プロモーション会社が関っている。
臓器移植の推進にも、民間の智恵とノウハウを使い、費用効率を上げていく時代になったのではなかろうか?
戦略のない戦術に意味はない。
 
尾崎総合企画
http://www.medisoft.jpn.ch