ありえないことが起こる!それが人間

先日、福井赤十字病院で起こった医療ミスは、驚くべき内容だった。
男性患者の病室(個室)で、看護師が患者の知人男性に点滴を打ったのである。
なおも驚くべきことは、看護師が男性患者の名前を呼称し確認したところ、知人男性が「はい、お願いします」などと答えたとのこと。
状況がよくわからないが、知人男性も素直に点滴を受けたのであるから、不思議で仕方ない。
今回の件では、呼称確認というミス予防のための動作を行っているが、顔の確認、服装のチェックなど、看護師側のミスは逃れらない。
また、知人男性も、体調が悪かったのか、悪ふざけなのかわからないが、呼称確認に返答し、点滴を受けたという点で、自業自得とも言える。
福井赤十字病院は、日本医療機能評価機構の認定病院でもある。
どのような立派な作業マニュアルを作ろうとも、最後は施行者の問題となってくる。
先日、とある病院を訪れた時に、患者認識のためにバーコードのリストバンドを全患者に配布していた。
バーコードチェック機を用いて、点滴や検査などが正しく行われているのかチェックできるのである。
このリストバンドの説明で感心したのは、
「このチェック機は、バーコードが正しいことを証明するだけで、患者が本人であることを証明するものではない。」
と言われていたこと。
いくら、高額な機器を用いようと、最終的に信じなければならないのは、自分自身なのである。
自分自身を信じるためには、常に、自己チェックを行っていなければならない。
形だけのマニュアルでは、チェックすること自体が流れ作業となってしまい、ダブルチェックもトリプルチェックも意味をなさなくなる。
医療ミスは、患者の命を危険にさらすだけでなく、医師、看護師など、指示者、施行者自身の人生をダメにしてしまう。
人間は一度、思い込むとなかなか自己修正は難しい。
患者名でも、薬品名でも、日時でも、一度違った読み方をしてしまうと、以後は脳がだまされてしまう。
今、自分が行おうとしていることは正しいのか、最終施行時の前に、気分を新たに確認するだけで、事故はゼロに近づく。
誰しも、ミスを起こそうと思って働いてはいない。
ありえないことが起こる!それが人間なのである。
 
尾崎総合企画
http://www.medisoft.jpn.ch