紹介状なしの大病院受診が保険外へ!(後編)

しかし、この案も非常に弱気な案です。
初診料、再診料、外来診療料以外は、保険を使うことができるのです。
今回の案は、大病院志向の日本人の行動を変え、「3時間待ちの3分診療」をなくすことが目的です。
本来なら、紹介状のない大病院の受診に関わる、「すべての医療費」を保険外にすべきです。
大病院の外来受診単価は、10,000円〜15,000円となっています。
現在の診療報酬では、初診料2,550円(病院)、再診料580円(病院)、外来診療料(720円)となっています。
どの金額も、外来受診単価と大きくかけ離れています。
画像検査等の高額な検査が、それだけ多くなされているということです。
新制度でも、この金額については、保険を使用することができるということになります。
現在、大病院では、紹介状のない受診の場合に、「診察料」に対して、特定医療費として保険外の金額を徴収してよいことになっています。
小委員会に提出された資料では、特定療養費の金額は、9割の病院が3,000円以下となっています。
すなわち、特定療養費が廃止され、初診料2,550円が保険外になったとしても、患者負担はほとんど変わらないということです。
これでは、大病院志向の患者を、地域の診療所へ誘導することはできません。
大病院の収入低下を懸念する声がありますが、その声は「3時間待ちの3分診療」をなくすという本来の目的から外れています。
もっとも、再診の場合の、再診料・外来診療料に関しては、患者負担に大きな差が出てきます。
(大病院ということであれば、外来診療料のみになるとは思うのですが・・・)
長期間、大病院にかかり続けている方の取扱いはどうなってしまうのでしょうか?
今さら、紹介状というわけにもいかないと思うのですが・・・。
結論なのですが、今回の患者側の制度を変えるというのは、真の医療制度改革においては必須となってきます。
本気で、大病院と中小病院・診療所の機能を分化するのであれば、紹介状なしでの大病院受診にかかる費用はすべて保険外という、ドラスティックな改革を行う必要があります。
そのためには、地域医療連携をもっと進めていかなければならないのでしょうね。
 
尾崎総合企画
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