包括医療の問題点(前編)

「包括医療」
この言葉が、これからの医療のキーワードとなってくる。
やればやるだけ増える、積み上げ式の医療では、医療費の増大に歯止めがかからないためだ。
現在、急性期の病院では、DPC(Diagnosis Procedure Combination、診断群分類)が試験的に導入されており、診断群により金額が決まる包括入院医療が実施されている。
療養型の病院では、すでに包括医療となっており、入院料は1日単位で報酬が決まっている。
療養型ではさらに、医療必要度などを用いた患者分類により点数を設定する制度が、厚生労働省で検討されている。
その他としては、200床以上の大病院を再診する際の、外来診療料や、在宅医療のための在総診、3大成人病を予防するための生活習慣病指導管理料などなど、包括点数の医療行為は少しずつ拡大していっている。
さて、話は入院医療費に戻るが、この包括点数により医療費が削減されているのかというと、実はそうでもない。
DPC参加病院のほとんどは、参加前より医療収入が上がっているし、そもそも、「医療機関別係数」という、参加前と報酬が変化しないための掛け算まで用意されている。
医療機関別係数の存在はは、トライアル期間のみであると思われるが。)
また、診断群で金額が決まるといっても、それは入院のみであるため、外来に関しては野放し状態である。
DPC参加病院で実際に起こっていることとして大きな問題となっているのは、入院前に外来受診をさせて、すべての高額検査を実施してしまうということである。
要するに、入院期間中は包括料金であるため、原価のかかること、すなわち「持ち出し」となる医療行為は制限する。
逆に、外来は積み上げ式のため、高額検査はすべて算定することができる。
各種一般検査も、薬剤の処方なども、すべて外来時に行ってしまう。
退院時には処方を出さず、近日中に外来受診してもらい処方する。
その結果、DPC参加前に比べて、医療収入が上がってくるということになる。
医療収入が減らないのであれば、包括医療は、全く、その意味がなくなってしまう。
 
字数の関係で次回へ続く。
 
尾崎総合企画
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