「医療費」について(中編)

前回からの続きです。
 
さて、現在の医療費の患者負担というのは高いのであろうか?安いのであろうか?
特に高齢者に絞って考えると、高度経済成長時代に「医療費の無料化」というとんでもない政策が行われた経緯がある。
一度、無料になったものには、1円を出すのも惜しくなる。
この政策により、たった2年間で医療費は4倍以上に膨れ上がった。
まさに、倍倍というスピードで医療費が増加したのである。
その結果、政策の取り止めとなったのだが、無料を元に戻すのは難しい。
従って、原則1割の自己負担であるが、「上限あり」という制度が誕生してしまった。
少しずつ、この上限が上がってきて、平成14年の改定で、医療機関での上限設定から、自己申告の償還払いという制度まで変化してきた。
しかし、まだ1割の自己負担なのである。
1割の自己負担というのは、医療という商品を常に90%引きで購入するということである。
そのため、現在受けている医療行為が、「いかに高いものなのか?」ということを考えずに医療を受けているのである。
この自己負担1割が2割に上がるということは、自己負担が2倍、すなわち200%になってくるということである。
この点だけを見ると、かなりひどい改定のように思える。
しかし、逆に考えると、医療という商品が、90%引きから80%引きになったということであり、割引率が10%減っただけのことでもある。
病院が高齢者の「サロン化」していると揶揄されたが、「今日は、○○さんは病院に来ないけど体調が悪いのかしら?」という笑い話が、現実に日常茶飯事である状況を考えると、病院というのは通いやすい価格であるということなのかもしれない。
 
字数の関係で次回へ続く。
 
尾崎総合企画
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