「医療費」について(後編)

前回からの続きです。
 
院内感染対策や医療安全対策に費用がかかるという点についても、逆に考えてみる必要がある。
病院における院内感染対策や、医療安全対策というのは、最近、取り組み始めたものではない。
10年前は、このような対策はなおざりにされていたのか?20年前はどうなのか?
ここ数年、マスコミの報道が増えてきたことで、これまでブラックボックスであった医療機関の現状・問題点が一般の方々の目に止まり始めてきた。
慌てて費用のことを問題にしているということは、これまで、対策をなおざりにしてきたということの裏返しなのかもしれない。
確かに、現実問題として、様々な対策のために、かなり多くの費用と時間が使われることとなった。
しかし、それは適切な費用なのか?
過去に行ってきた対策と比較して、有意義な結果が出ているのか?
無駄な会議や記録に費やしている時間はないのか?
原点に立ち返って考えると、本当に必要な対策というのが見えてくる。
すべての費用は、患者の自己負担と、国民全体の保険料と税金で賄われていることを忘れてはならない。
まとまりがつかなくなったが、医療費の問題は、国民全体の問題である。
今、患者の自己負担を減らして、医療機関の報酬を高めることは、かなり近い将来に、医療保険制度の崩壊を意味することになる。
今だけ良ければ、という考え方はもう捨てなければならない。
適切な医療とは何なのか?
適切な負担とはどれくらいなのか?
これからの大きな課題である。
 
尾崎総合企画
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