病院と診療所(後編)

前回からの続きです。
 
それともう一つ、よく混同されているのが「個人病院」です。
「あそこは個人病院だから・・・」という会話は、診療所のことを言っていることが多いような気がします。
個人病院は「病院」ですので、入院ベッドが20床以上あります。
それでは「個人」とは何か?ということですが、これは病院の開設区分になってきます。
法人が開設したのか、個人が開設したのかという違いです。
個人商店と、法人の違いと全く同じことですね。
病院となると、スタッフ数も売上げも多いため、ほとんどが法人であると考えて間違いありません。
「医療法人○○会 △△病院」となっていることが多いですよね。
この○○会というのが、法人の名前です。
もちろん、診療所にも個人と法人があります。
多くは個人ですが、最近は法人にするところも増えてきています。
(診療所の場合は、1人法人という特殊な法人です。)
 
もう一つ雑学ですが、診療所なのに、入院ベッド数が20床以上あるところも見かけます。
これは、医療法上では「違法」です。
ただ、医療の面白いところは、医療法と健康保険法で様々な規定が違っているところにあります。
(健康保険法では保険診療について定めています。)
診療報酬上では、1ヶ月の平均入院患者数はベッド数の105%(未満)まで算定することが可能となっています。
普通に考えると105%ってありえない数字ですよね。
これは、同一日に入院と退院がある場合を考慮して考えられたものなのですが、これを別解釈してベッド数を増やしている医療機関もあるということを耳にします。
もっとも、毎日、入院ベッドが満床ということはありませんので、瞬間風速的に基準数を超えても、月平均では基準内に収まっているということが多いようです。
しかし、診療所は特別です。
19床の105%ということは、19.95床ですので、1ベッドも多く持つことは許されないはずです。
にもかかわらず、1ヶ月の平均入院患者数は19床+3床=22床(未満)まで許されているのです。
「医科点数表の解釈」にしっかりと明記されています。
これが入院ベッド20床の病院であれば、1ヶ月の平均入院患者数は105%の21床(未満)までしか許されないのですから不思議なものです。
 
皆さん、病院と診療所の違いについて、きちんと認識できましたか?
 
尾崎総合企画
http://www.medisoft.jpn.ch