65億4,000万円

昨年末、2004年度における診療報酬の不正請求金額が発表された。
返還を命じられた総額は65億4,000万円。
過去3番目に大きな金額だそうである。
このように大きな返還金額となった発端は、言うまでもなく、北海道から始まった医師名義貸し問題である。
その後に行われた大学病院の名義貸しに関する自己調査結果に基づき、全国の医療機関に大規模な調査が入ったためである。
保険医療機関を取り消されたケースは48件で、うち名義借りによる指定取消しは11件とのこと。
この調査は、現在進行中であるため、2005年度の返還金額、指定取消し件数はさらに拡大するものと予想される。
問題なのは、ここで発表された金額は、「返還命令」に基づく金額であるため、実際に返還する金額はさらに多いということである。
これは「調査期間」での不正請求金額に基づくためであり、調査期間外の不正請求金額は自主的に返還するためである。
その金額は、発表金額の数倍になるものと思われる。
一連の医師名義貸し問題は、これまで問題視することをタブーとされてきた経緯がある。
原因は多々ある。
長い歴史の中で、少しずつ積み重なり、問題軽視されてきた結果が、この65億円という数字なのであろう。
しかし、今回の医師名義貸し問題が明るみに出たことで、医局のあり方、病院の医師数基準、医師の報酬、複雑な診療報酬制度、社会保険事務局や保健所の調査あり方などの問題点も見えてきた。
これらの問題点はすぐには解決しないものばかりだが、近い将来、確実に改善していくものと思われる。
医療は透明で分かりやすいものに。
白衣と同様、医療機関の経営方針も真っ白でなければならない。
 
尾崎総合企画
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