薬剤の購入はネット経由に?(後編)

前回からの続きです。
 
さて、このネット販売の革命、成功すれば、何かの例に似ていないだろうか?
そう、文具界のアスクルの例である。
アスクル=「明日来る」ということで、カタログ注文・ネット注文すれば、翌日には配送料無料(2,500円以上の購入)で文具が到着するサービス。
文具、家具をはじめとして、今や医療用品まで扱っている。
既存の地元文具店を通した文具流通を一気に変えてしまった会社である。
このように、医薬品界にもネット販売が定着すれば、現在の医薬品卸の存在は、配送センターを除いて必要がなくなってくる。
一括受注による効率的な配送を行うためには、配送センターは必要不可欠であるが、営業は広告が代理をしてくれるようになる。
また、ネットでの医薬品情報が充実してくれば(既にかなり充実しているが)、医薬品メーカーの医薬品情報担当者(MR)の存在意義もなくなってくるだろう。
販売コスト、流通コストが削減できれば、医薬品の価格も下がり、患者が安く購入することができるようになるかもしれない。
医療費の削減という意味では、良いことなのかもしれない。
しかし、医薬品卸業としては壊滅的なダメージを受けることも否めない。
現在の医薬品卸業がネット販売業に移行していくという方法もあるが、ネット販売では既存の業者のノウハウに敵わない。
もし、アスクルが医薬品事業に参入すれば、非常に販売力の強い企業となるであろう。
このように、インターネットの急速な普及により、流通は変わりつつある。
治療薬としての医薬品をインターネットなどで購入するなんてとんでもない!!
と思う方も多いであろう。
しかし、様々な効能を謳っている(薬事法に抵触しているものも多いが)健康食品の多くは、通信販売での購入なのである。
既にインフラはできあがっている。
後は倫理的な問題と、規制の問題を解決するのみ。
近い将来に、医薬品の流通は大きく変わっていくのかもしれない。
 
※今回の通信販売テーマでは、OTC薬(大衆薬)については対個人、医療用医薬品・ジェネリック医薬品については対医療機関・薬局となっています。
 
尾崎総合企画
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