医療費や税金について(前編)

平成18年4月の診療報酬改定では、医療費全体で3.16%が引き下げられることが確定している。
現在、それに向けて、中医協で具体的な話し合いがなされている。
3.16%ということは、約2,370億円。
これだけの金額が、引き下げとなる。
医療費削減=医療の質が下がるのではないのか?
医療関係者も、一般の方々も、そう思うのは当然である。
実は、この考え方にはトリックがある。
それは、「医療費の自然増」について。
医療費を考える場合、これまでの家庭から、医療費は「毎年、自然に増加する」という考え方がベースになっている。
では、この自然に増加する金額というのはどれくらいであろうか?
正確に計算することは難しいであろうが、だいたい社会保障費全体で7,000億円〜1兆円と考えていれば間違いない。
医療の部分に限れば、約4,000億円ぐらいであろうか。
これだけの金額が、毎年「増加」し続けているのである。
従って、今回の改訂で約2,370億円を削減しようとしても、実は医療費は増加するということ。
患者1人あたりの単価は下がるが、患者数が増えるため、結果として医療費は増加するのである。

家計で考えれば分かりやすいと思うのだが、
給料が月に10万円しかないのに、11万円の出費があるとする。
このままでは赤字なので、支出を見直すと、月1万円程削減できそうだ。
しかし、様々な費用で毎月2万円ずつ支出も増えていく。

このような家計をどのように考えるであろうか?
誰がどのように考えても回るはずがない。
しかし、医療費をはじめとする社会保障費は、このように年々増加し続けているのである。
 
字数の関係で次回へ続く。
 
尾崎総合企画
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