医療費や税金について(後編)

前回からの続きです。
 
社会保障費には、保険料に加え、多額の税金が投入されている。
税金は社会保障のみに使われるものではない。
それなのに、毎年、社会保障費は増加し続けている。
大切なのは、「いかに自然増を抑えるのか」ではなく、「いかに昨年より抑えるのか」ということである。
あらためて言うまでもないことなのだが、様々な圧力により、この当り前のことができないのである。
国の借金である、国債を見てもよくわかるであろう。
借金の利息だけで、毎年かなりの額が増え続けているのに、さらに毎年、国債を発行(借金を増やす)しているのだ。
「今年は国債発行を30兆円以下に抑えよう!」ではなく、「今年は国債発行を0にして、借入れ額を減らそう!」でなければならないのである。
今がよければ、それでよい。
そんな考え方が、日本には浸透している。
国債も、医療費も同様である。
今がよければ、という考え方の先にあるのは、責任は未来の人が負う、という結末である。
次のホームページを見ていただきたい。

「日本の借金時計」
http://www.takarabe-hrj.co.jp/takarabe/clock/

このコラムを書いている時点で、約10秒で1,000万円もの借金が増えているのである。
単純に計算しても、1分間に約6,000万円、1時間に約36億円、1日に約864億円、1ヶ月に2兆5,920億円もの数字となる。
今回の医療費削減の約2,370億円など、たった3日分の利息にすぎない。
さらに単純に計算すると、1年間で増えていく借金は約31兆円。
日本が毎年発行している国債は、すべて利息の支払いに回っているといっても過言ではない。
借金の総額は、日本の税収をすべて返済に回しても、20年を必要とするほどの額である。
借金の利息を、借金で返済するのであるから、借金が減ることは決してない。
では、そのお金はどこに流れているのか?
税金が投入されているすべての事業に流れているのである。
今回の改訂では、小泉首相の掛け声のもと、医療費全体で3.16%のマイナス改定が決定した。
しかし、実際はマイナスではないのである。
この事実をよく考えていただきたい。
話が大きすぎて、実感がピンとこないかもしれないが、これは国民全体の問題である。
そのツケは、いつか、あなた自身に医療や介護が必要になったときに返ってくるのであるから。
 
尾崎総合企画
http://www.medisoft.jpn.ch