地域医療連携をまじめに考えてみる(後編)

前回からの続きです。
 
地域医療連携に、何かが足りない?
そう、診療所で診ることができない、すなわち入院が必要な「亜急性期、維持期」の患者の行き先がないのである。
リハビリテーションが必要なのではなく、医療が必要な患者の行き先がないのである。
今回の診療報酬改訂では、急性期病院(特に地域医療支援病院)と、在宅を行う診療所に、高い評価を行っている。
回復期リハビリテーション病院も、上限は厳しくなったが、点数ではまだまだ優遇されるであろう。
しかし、「亜急性期、維持期」を担う一般病院、そして、慢性的な医療や介護が必要な療養型病院、すなわち、患者にとって本当に必要な部分に関しては大きな評価減となるのである。
急性期病院を優遇すれば、平均在院日数は世界的な水準まで短くなっていくであろう。
在宅を行う診療所を優遇すれば、確かに在宅医療は広がっていくのかもしれない。
しかし、その裏で、「在宅」と称して、グループホームやケアハウスや有料老人ホームや高齢者マンションなど、高齢者を隔離してしまう「箱作り」が優遇されていることも忘れてはならない。
別の「箱」を在宅と称していたのでは、地域医療連携の行き先は、社会的入院の場所を変えるだけになってしまう。
これまで長い時間をかけてできあがったシステムを変えていくことは簡単なことではない。
一時的に、おかしな形になってしまうのも仕方のないことなのかもしれない。
ただ、地域医療連携は、患者のためなのか、医療機関が生き抜くためなのか、この点を見誤ってはならない。
そこで大切になってくるのは、次のステップに送り出した後の「フォロー」である。
継続して「フォロー」していくことが、真のチーム医療であり、真のチーム介護であり、地域医療連携なのではなかろうか?
これからの医療・介護は「質(クオリティ)」の時代。
地域医療、地域介護をよりよいものにしていくため、各医療機関、各介護事業所ともに頑張ってほしい。
 
尾崎総合企画
http://www.medisoft.jpn.ch