中小病院の入院環境が劇的に変わります(後編)

大きく変わる基準の2つ目は、夜勤の看護配置の要件が厳しくなるという点。
現在の制度の「夜勤勤務等看護加算」の算定要件が標準化されてきます。
これは、夜勤帯の看護職員の労働条件を守るためであり、夜勤は1ヶ月に72時間以内ということが徹底されるのです。
この考え方は、労働基準法に従っているもので、夜勤勤務は1週間に1回までという原点からきているものです。

72時間以内の根拠を述べますと、
1年間は365日であるため、1週間に1回夜勤をしたとすると、365日÷7=52回が、夜勤ができる最大回数となります。
従って、1ヶ月あたり、52回÷12ヶ月=4.5回が、夜勤の上限です。
2交代制の場合、1日の夜勤時間帯は16時間と定められていますので、4.5回×16時間=72時間が、1ヶ月あたりの最大夜勤時間となるのです。

今回の改訂により、一般病棟の場合、看護職員による2人夜勤体制が、入院基本料を算定する上での絶対条件となりました。
現在、夜勤勤務等看護加算4や5を算定している病院では、看護職員1人と看護補助者1人の2人で夜勤を行っているのが現状です。
このような勤務体制の病院では、4月からは、看護職員2人の夜勤体制が取れない場合、入院基本料を算定することができなくなるのです。
(正確には、一般病棟の場合は「特別入院基本料」という非常に低い診療報酬となります。)
低い診療報酬で入院を受け入れていくか、病棟数を減らして、看護職員2人の夜勤体制を維持するのか、という究極の二択となってくるのです。

昨年まで問題になっていた、医師の定数の問題と、今回の72時間2人夜勤看護体制の徹底により、病床数を大幅に減らさなければならない病院が出てくるはずです。
ましてや、現在の2.5対1看護体制、新しい制度の13対1看護体制より上の基準では、70%以上が看護師(准看護師でない)でなければなりません。
70%以上の看護師で、夜勤2人体制をとれる中小病院がどのくらいあるのでしょうか?
小病院の中には、診療所に転換する病院も出てくるでしょう。
現在、中小病院に入院されている方は、3月末までに退院を迫られるかもしれません。
平均在院日数もますます短くなるでしょうから、どの病院でも入院できるというわけにはいかなくなるかもしれません。
4月以降、中小病院の入院環境が劇的に変わります。
皆様の勤務されている、入院されている病院はいかがでしょうか?
 
尾崎総合企画
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