医療は社会保険方式か税方式か?(後編)

前回からの続きです。
 
両制度とも、現役世代の支払ったお金が、利用者(高齢者など)に使われるため、一見、社会保険方式と税方式は同じように見える。
しかし、社会保険方式は積み立てておいて、使った分を補充するという貯蓄型なのに対し、税方式は必要なものを必要なときに徴収するという狩猟型ということができる。
社会保険方式では給付と負担がはっきりしているが、その性格上、税方式では給付と負担がはっきりしていない。
本来、保険制度は、給付と負担がはっきりしている社会保険方式が望まれるが、財源不足のために税金が投入されることとなる。
例えば、介護保険の財源は、税金が50%、保険料が50%となっている。
税金の内訳は、国の負担が25%、都道府県が12.5%、市町村が12.5%である。
この税金は使途が決められている特定財源ではないため、どの部分から徴収した税金が使われているのかわからない。
後期高齢者医療制度でも、介護保険と同様に税金が50%を占めている。
すなわち、財源が不足してくれば、保険料のアップだけでは間に合わず、税金を上げて財源を増やさなければならない。
給与からの控除額が減らされたり、消費税がアップしたり、ガソリンが高くなったり、タバコやお酒が高くなったりするのである。
医療は社会保険方式か税方式かという問題は難しい。
ただ、やはり使途を明確にして徴収した金額の中から使われるべきである。
今のやり方は、後期高齢者医療保険にしろ、介護保険にしろ、新たな保険料と税金をダブルで徴収する制度をとっている。
税金はいくら増えて、どこに流れていくのかを正確に掴むことは難しい。
国民が納得するシステムを構築してほしいものである。
 
尾崎総合企画
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