延命措置中止・安楽死・尊厳死(中編)

前回からの続きです。
 
安楽死」とともに考えなければならないのは「尊厳死」である。
尊厳死」とは、人間が人間としての尊厳を保って死に臨むことである。
「生かされている」だけの状態から開放されたいとき、激しい痛みから解放されたいとき、自分の未来に耐えかねないとき、自らの「意思」により死に臨むことである。
ここでは、意識のある段階で、自らの延命行為の是非に関して宣言する「リビング・ウィル(Living Will)」が有効な手段となってくる。
脳死の際の臓器提供の意思について事前に記載する、臓器移植カードが普及してきたが、同じように自らの延命行為について記載した、リビング・ウィルカードなどがあればよいのかもしれない。
ホスピスでは「リビング・ウィル」が大前提となってくるため、医療機関と本人・家族が十分に話し合いの上、治療方法、延命行為について決めていく。
痛みはとってほしいが、人工呼吸器はつけない。
最後は、自宅で死を迎えたい。
死を迎える前には、家族と最後の挨拶をして、眠りにつきたい。
など、患者本人の意思が最重要事項となり、その意思を最大限に尊重する。
多くの医療機関でも同じことができれば理想なのだが、現実には難しい。
理由として、1つは患者の入退院が早く、1人の患者に十分な時間を取ることができないということ。
そして、もう1つ重要なことは、「延命措置」問題は、意識のない患者に対するケースが圧倒的に多いということである。
いくら「リビング・ウィル」といえど、意識がなければ、本人の意思の確認などできるはずもない。
それなら家族の意思ということになるが、家族の意見も千差万別。
必ず、あとで問題となってくる。
健康な間は、死ぬことなど考えにくいものである。
 
字数の関係で次回へ続く。
 
尾崎総合企画
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