「清潔」「不潔」「きれい」「汚い」(前編)

突然ですが、
「清潔」「不潔」の違いを説明することができますでしょうか?
言い方はいろいろあると思うのですが、

「清潔」 感染が成立するだけの病原微生物がいない状態
「不潔」 病原微生物が生存している状態

ということになります。
この言葉をしっかりと理解しておかないと、「きれい」「汚い」の感覚で仕事をしていることがあります。
「きれい」「汚い」とは、見た目の感覚です。
整頓されている部屋、散らかっている部屋と。
前者は「きれい」で、後者は「汚い」ですよね。
ただし、前者が「清潔」で、後者が「不潔」といえるかというと、それはまた、別問題なのです。

例えば、養豚場のSPF豚というのを聞いたことがありますでしょうか?

妊娠末期の豚から帝王切開などの外科的方法で子豚を無菌的に取りだして人工哺育をすると病気のない豚群を作ることができます。
豚の発育に悪い影響を与える、マイコプラズマ肺炎、萎縮性鼻炎、豚赤痢、オーエスキー病、トキソプラズマの5つの病気の侵入を防ぐために農場の周りをフェンスで囲ったり、 搬入する資材などは厳重に消毒したり、入場する人間も厳しく制限したりします。
入場する人間は必ず入浴して全身をきれいに洗い場内専用の衣類に着替えなければなりません。
SPF = Specific Pathogen Free
すなわち、感染を起こすような特定の(Specific)病原菌(Pathogen)がない(Free)状況で飼育されている豚のことをいいます。

感覚的にいうと、養豚場は「きれい」とはいいにくいかもしれません。
ただし、特定の感染面から言えば「清潔」なのです。

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尾崎総合企画
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