調理師が病棟へ

先日、本を読んでいて、素晴らしい内容に出会いました。
ある病院では、管理栄養士と共に、厨房の調理師が病棟に行って、患者とお話をするというのです。
病院の食事というと、あまり「おいしい」というイメージはありませんよね。
病院側の考え方としても、食事=治療であり、食事はコントロールされたカロリーや栄養分をもとに作られて、味や見た目は二の次になってしまっているところが多いのが現状ではないでしょうか?
もっとも、最近の病院給食は民間企業へ外部委託していますので、ある意味「プロ」が調理しているのですが、どうしても計算表に基づいて大量に作っていて、さらにHACCPに基づき、中心温度を75度で1分間以上加熱すると、どうしても味は落ちてしまいます。
また、冷蔵温蔵配膳車にて温度管理しているとはいえ、調理してから一定の時間が経過してしまいますので、料理も固くなってしまいます。
(HACCP:Hazard Analysis Critical Control Points=危害分析に基づく重要管理点方式)
このように管理調理、大量調理を行なっていると、だんだんと食べる人の顔が見えなくなってしまいます。
残飯が多くても、「あぁ、残っているなぁ」ぐらいの感覚しかなくなってきます。
病棟に行き、患者と話を、すなわち、食べていただく人とお話をすることにより、調理に「もてなし」の心が生まれてきます。
病院の食事は管理調理であるため、一人一人内容が違ってきます。
名札を見ることで、「あぁ、○○さんに食べてもらうんだなぁ。」と思えば、自然と心遣いも替わってきます。
食べる側としても、食事作ってくれる調理師さんの顔と名前を知ることにより、食事に関心を持つようになります。
外食をしたときに料理を残すと、調理した方は「おいしくなかったのかなぁ」と気になりますよね。
病院でも同じように気になるようになれば、管理調理とはいえ、食事はもっともっとおいしくなるのではないでしょうか?
ちょっとした盛り付けでも味は変わってきますよね。
管理栄養士と調理師がともに患者と話をすることで、栄養分を考えてくれる人、調理をしてくれる人の両方の顔が見えるようになります。
栄養指導にしても、調理指導にしても、もっともっと意味があるものになってくるのではないでしょうか。
ぜひ、皆様の施設でもお試しいただけたらと思います。
 
尾崎総合企画
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