「清潔」「不潔」「きれい」「汚い」(後編)

前回からの続きです。

以前、介護施設におけるノロウイルスが世間を騒がせました。
ノロウイルスは経口感染、すなわち病原菌が口から入って感染を起こします。
原因は、オムツ交換の方法にあると言われました。
多くの施設は、利用者への愛情のため、素手で行っていることが多く、きちんとした手洗いを行わないまま、次々とオムツ交換を行い、ウイルスをばらまいてしまいました。
手袋を着用している施設でも、経費削減のため、手袋を交換しないまま、次々とオムツ交換を行い、ウイルスをばらまいてしまいました。
これは、ひとえに「清潔」「不潔」の概念を理解していないことが原因です。

手を洗って「きれい」に見えても、「清潔」ではありません。
手洗い実験で、特殊なローションを塗りこんで手洗いを(いつもより)十分にしてもらって、その手を紫外線に当てると、みごとなまでにローションが残っていることがわかります。
10人実験を行うと、8〜9人はこの状態です。
手を洗って「きれい」になったように思っていても、実は手を濡らしただけということが多々あるということです。

手洗いには、日常手洗い(Social handwashing)と、衛生的手洗い(Hygienic handwashing)があります。
日常手洗いは、石けんと流水による手洗いで、日常業務で表面に付着する「汚れ」や細菌を除去することが目的です。
これに対し、衛生的手洗いは、感染の予防策として行う手洗いであり、皮膚通過菌の「ほとんど」を除去することを目的とします。

日々の業務の中で、日常手洗いでよいものと、衛生的手洗いが必要なケースを分けて考える必要があります。
また、いくら手洗いしても、衣服の袖をまくったり、顔や髪の毛を触ると、手洗いの意味は一瞬でなくなってしまいます。

このコラムを機会に、「清潔」「不潔」の概念について、改めて考えてみていただければと思います。

しかし、改めて考えてみると、医療機関の制服は毎日、選択する必要があるのでは???
特に、制服のまま昼食等で外出されているスタッフ。これはいけませんよ!

尾崎総合企画
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